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疾走日記

美味しい話

めんりすとさんのべじたぼー!

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めんりすとさんのべじたぼー!

めんりすとさんのべじたぼー! 再び味わって確信しました。これぞ至高のベジポタだよってね!!
 
二週目のレビュー。
それにしてもこの作品の美味しさは突き抜けてますね。
美味しいという表現における感動を一つ超えたところで至福に導いてくれます。
 
何よりも素晴らしいのはラーメンの美味しさにおいて「味」や「香り」、「食感」といった要素はもちろんのこと、「舌触り」、「口どけ」といったおよそスイーツなどの世界で重要視される要素においてなお、類まれなる魅力を覚えさせること。
ベジポタという特異な作品においてもなお、当然のようにめんりすとというブランドを裏切らない作家性と技巧美の高さで、それらが表現されています。
驚くというよりは、もはや恐ろしいです。 
拍手喝采の美味しさの先にある、お手上げの美味しさというものを楽しませて頂きました。
 
そんなちょっと違う次元の一杯にも思えるこの「べじたぼー!」ですが、個人的にはこのお店の名作「し・ろ・ど・り」という鶏油+鶏豚の白湯スープ+塩ダレによる一杯を楽しんでおくと、その基本的スタイル(←とはいっても超個性的なのだが)との対比により、さらに「べじたぼー!」の面白みが増すとは思います。しかし一方ではめんりすとさんでのデビューをこの作品で飾るというのも、一生味わえないようなディープなファーストインパクトを堪能できるという意味でも、ありかもしれません。
 
そんな「べじたぼー!」、10日ぶりに改めてスープを頂きます。
鶏油の香り高さが圧倒的です。
艶やかで、黄金いろに輝くそのオイルは、その色彩同様に透き通るようにして香り豊か、すーっと味わいの深いところまで完成をとどかす様な綺麗な仕上がり。
スープに浮かぶ上質な鶏の油脂感に続いて感じるのは、ベジポタの主材料であるジャガイモの個性。
白く、じわっとした旨味というのでしょうか、舌の上に持続力ある旨味を残すジャガイモの味わいに、極めて微かに加えられているのであろうバターの味わいが温かでまろやかな質感を加え、ジャガイモの味わいに鮮やかさと明るさが香ります。
同時にその味わいの低域では、ジャガイモの皮の個性を思わす様な、ほろ苦い味わいが極めて上品に感じられ、この苦いと感じさせることなく苦さで大人びた上等さを感じさせるセンスが、超魅惑的!!
しかしこの苦味には、どう考えてもジャガイモの皮などが持つ苦味では到底表現できないであろうキメの細やかさと品の良さがあり、実はこの苦味の正体がポワロ(フランス料理などによくつかわれるネギの一種)だったりするのです。
更には後味で、感じるか感じないかギリギリのところにセロリの青々とした清涼感を感じさせるなど、随所にフレンチ出身の店主様の経験が、無理のない自然な形で重ねられており、そのあるべき意外性によって、最初から最後まで味わえば味わうほどに美味しい瞬間がキラキラと連続していきます。
 
そんなジャガイモの味わいを感じると直ぐに現れるのが、鶏と豚の白湯スープの優雅な味わい。
包容力のある豚の柔らかな質感によって、鶏のすーっと浮かび上がる立体的な旨味の明瞭さが、ベジポタのスープから独立せず、心地よいハーモニーを描きながら、軽やかに存在します。
そしてこの鶏と豚の白湯スープからなる動物系の旨味が、めんりすとさんの白湯だけがもつ圧倒的なキメの細かさと滑らかさによって、絵に描いた様に美しいカーブをもって口どけします。
その雑味なき美しい口どけ感の、なんと凛としてしなやかな曲線美・・・、この質感はまさに神がかり的!!
そして動物系スープの口どけ感の先に、じわっと持続的に残るポタージュの味わいが再び舌を転がり、ラストでバターの油脂感を再び浮かべることで濃厚にした柔らかな旨味がポッと浮き上がるのです。
 
動物系スープの美しい口どけ感と滑らかさが、ポタージュの軽くザラッと舌をなでるような質感と持続力との対比によってより劇的に演出されます。
し・ろ・ど・りがみせるストイックな動物系スープの美意識を誰よりも愛してきた私ですが、べじたぼー!ならではの豪華な装飾からこそ生み出される演出もまた堪らなく心に響きます。
この動物系スープとポタージュスープの二枚の色気の重なりと対比が、テクニカルだけに終わらない圧倒的にエモーショナルな時間を生み出しています!!
 
そしてフィニッシュでは、言われてようやく気付くであろう微かに香るセロリの個性が輝きを放ちます。
セロリの清涼なる質感はこの重厚なスープの後味をべたつかせず、さらには旨味をすっと口どけさせつつ、香味で味あわせる様な、いかにもめんりすとさんらしいエレガントさに満ち満ちた世界を演出します。
 
この「べじたぼー!」、この時点ですでにシンプルな美味しさと、技巧美による装飾溢れたゴージャスさを兼ね備えた究極のスープといえる内容であるのですが、さらにここから更なるオペラチックな演出が施されます。
そんな謎の転校生状態にドラマを彩るアイテムが、写真に浮かぶ赤い球体・・・、そう、これがトマトソースのシャーベット!!
トマトの酸味、コクウマ感が、スープに溶け出すと、スープの温度がすっと下がり、よりスープのもつ繊細で複雑な旨味が舌に馴染みやすくなり、その味わいが体の奥にまで染みいるかのよう。
トマトソースの味わいが、意味もなく混沌とすることはなく、あくまでもポタージュスープの旨味に添えられたソースかのように適度に二層化した味わいを成すあたりも秀逸
味変というアプローチでありつつも、それが遊び心やスナッキーさとして感じられるのではなく、まるで作り手が食べる側に投じてみた新しい美食の定義とすら思えるよう。
 
そこにはラーメンのスープは熱ければ熱いほど美味しいという常識に対して、「この温度でしか味わうことのできない美味しさがある」という主張が含まれているのかも。
フランス料理におけるスープの温度が、日本人にはいくらかぬるめであるように、素材の美味しさを等身大で味わう時に相応しい温度というものは案外、低いものなのかもしれません。
この作品は、冒頭で食べる側が長い間親しみを感じてきた『熱々スープの美味しさ』を楽しませつつ、そこからトマトソースのシャーベットのトッピングによって、めんりすとさんが考える『美味しさの絶対温度』にスープを誘います。
恐らくこの作品を食べた殆どの方は、温度が変わった時にスープの旨味がぐっと深くなっていくことに驚かされるはずです。
作り手の芸術性と食べる側の娯楽性をこの一杯に重ねることで、めんりすとさんの描こうとする芸術性が、さらに深いところまで食べる側の体に響きやすく仕立てられているように感じられます。
 
マイタケのトッピングも、飾りに終わらない素晴らしさ。
マイタケのほろ苦さが、スープに香り、味わいを大人びたものに仕立てつつ、キノコ系ならではの曇りを流しません
調理方法の拘りが、細かいところにまできっちり届いています。
 
そして麺。
今回の麺はラーメンろたすさんの麺を使用しています。
麺の提供をOKするろたすさんの懐も凄いです。
ベジポタでは既にその実力を認められているろたすさんだからこそ「他店がやりたいことをやり切った最高傑作と勝負したい」という気持があるのかもしれません。
そして一方では、最高傑作をつくるためには、他店の麺であっても使用をお願いするめんりすとさんも凄い。
自分の店の宣伝のためなら、自分の店の麺を使うべきことは明らか。それでもなお自分が描く最高傑作に徹してベストな麺を選ぼうとします。

これぞガチ、これぞ本気勝負と思えます。
 
それにしても、めんりすとさんがここで突然ろたすさんの麺を用意してきたのは驚きましたね。
めんりすとさんって、ろたすさんで煮干しのラーメンを食べている時にもきっと「自分だったらこの麺にどんなスープを合わせるだろうか? この麺ならベジポタには合いそうだな・・・」とか考えているんでしょうね。
 
なんか、プロフェッショナル、ベジフェッショナルを感じますよね。
  
ちなみに麺の質感は、ろたすさんとめんりすとさんでは、明らかに異なっています。
恐らくめんりすとさんは、ろたすさんよりもいくらか麺の張りを抑えて使用していますね。
ろたすさんが濃厚スープの旨味をキリッと出そうとする麺の茹で具合に対して、めんりすとさんはスープに絡んだ麺の舌触りに焦点を置いた茹で具合という印象です。
 
そんなろたすさんのプライドと、めんりすとさんのプライドが濃厚に詰まったこの麺・・・、本当に本当に美味い!
べじたぼー!スープに絡んだこの麺の舌触り、噛んで浮き上がる穀物の旨味といった美味しさの表現の一連の流れが、あまりにあまりに素晴らしい!!
麺そのものが美味しいのはもちろん、この麺が持つ全てのポテンシャルを、べじたぼー!スープに完璧に調和する茹で時間によって表現しているように思えます。
 
 
この一杯、完璧に相応しい一杯です。
スープの調律、トッピングの調律、麺の調律を完璧に施したが上のアンサンブルの美しさ、絶対音感ならぬ絶対味覚による乱れのなさがゆえの全てが凛凛と輝く風味の美しさを覚えます!!
 
この企画を通じて、初めてめんりすとさんを訪問した方もいるかもしれませんが、そのような方々にも「これがめんりすとクオリティーです」と一生忘れられないキザな挨拶を決めてくれる快作ですね!!!
 
もし君がこの作品を未食だとするならば、是非この機会に体験してみて下さい。
この作品、君の知っているラーメンの一つ向こうの世界にある一杯ですよ!!
 
 
※ そしてここでお詫び。このベジポタ企画が始まる前、めんりすとさんを最下位と予想していました(しかもそこそこ自信があった)。すいません。めんりすとさんはベジポタのようないくらかジャンクに濃厚なラーメンは好きではなさそうなので、売れるベジポタを作らないと思っていたものですから…。まさか上品さをここまで濃厚にすることでベジポタ道を極めてくるとは全然思ってもみませんでした。正直、この「べじたぼー!」は食べた人が全員満点評価してもおかしくない一杯だと思います。この作品を今回の企画の優勝候補の一つとして考えて当然と思いますし、そう考えなかったら頭おかしいと思われても仕方がない超名作だと思います。戦前に最下位を予想して、企画が始まったら一転して優勝と予想したりすると、それこそ自称めんりすとファンクラブだからこその出来レースレビューと思われてしまいそうで心配ですが、本当にそう思っていたんだから仕方なんいだぜ!!
いずれにしてもこの作品こそが今回企画の台風の目であることは間違いありません。そしてこれだけの作品を作って滝行喰らったとしたら、理由はただ一つ、それはイケメン男性店員がいない唯一のお店だからに他なりません。という訳で、もしめんりすとさんが滝行喰らったときには、これはもうイケメンの私がアルバイトの面接受けてみるしかないね(笑)!!
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