疾走日記
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めんりすとさんのべじたぼー!
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2024/04/24 20:49
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めんりすとさんのべじたぼー!
めんりすとさんのべじたぼー! 再び味わって確信しました
。これぞ至高のベジポタだよってね!!
二週目のレビュー。
それにしてもこの作品の美味しさは突き抜けてますね。
美味しいという表現における感動を一つ超えたところで至
福に導いてくれます。
何よりも素晴らしいのはラーメンの美味しさにおいて「味
」や「香り」、「食感」といった要素はもちろんのこと、
「舌触り」、「口どけ」といったおよそスイーツなどの世
界で重要視される要素においてなお、類まれなる魅力を覚
えさせること。
ベジポタという特異な作品においてもなお、当然のように
めんりすとというブランドを裏切らない作家性と技巧美の
高さで、それらが表現されています。
驚くというよりは、もはや恐ろしいです。
拍手喝采の美味しさの先にある、お手上げの美味しさとい
うものを楽しませて頂きました。
そんなちょっと違う次元の一杯にも思えるこの「べじたぼ
ー!」ですが、個人的にはこのお店の名作「し・ろ・ど・
り」という鶏油+鶏豚の白湯スープ+塩ダレによる一杯を
楽しんでおくと、その基本的スタイル(←とはいっても超
個性的なのだが)との対比により、さらに「べじたぼー!
」の面白みが増すとは思います。しかし一方ではめんりす
とさんでのデビューをこの作品で飾るというのも、一生味
わえないようなディープなファーストインパクトを堪能で
きるという意味でも、ありかもしれません。
そんな「べじたぼー!」、10日ぶりに改めてスープを頂
きます。
鶏油の香り高さが圧倒的です。
艶やかで、黄金いろに輝くそのオイルは、その色彩同様に
透き通るようにして香り豊か、すーっと味わいの深いとこ
ろまで完成をとどかす様な綺麗な仕上がり。
スープに浮かぶ上質な鶏の油脂感に続いて感じるのは、ベ
ジポタの主材料であるジャガイモの個性。
白く、じわっとした旨味というのでしょうか、舌の上に持
続力ある旨味を残すジャガイモの味わいに、極めて微かに
加えられているのであろうバターの味わいが温かでまろや
かな質感を加え、ジャガイモの味わいに鮮やかさと明るさ
が香ります。
同時にその味わいの低域では、ジャガイモの皮の個性を思
わす様な、ほろ苦い味わいが極めて上品に感じられ、この
苦いと感じさせることなく苦さで大人びた上等さを感じさ
せるセンスが、超魅惑的!!
しかしこの苦味には、どう考えてもジャガイモの皮などが
持つ苦味では到底表現できないであろうキメの細やかさと
品の良さがあり、実はこの苦味の正体がポワロ(フランス
料理などによくつかわれるネギの一種)だったりするので
す。
更には後味で、感じるか感じないかギリギリのところにセ
ロリの青々とした清涼感を感じさせるなど、随所にフレン
チ出身の店主様の経験が、無理のない自然な形で重ねられ
ており、そのあるべき意外性によって、最初から最後まで
味わえば味わうほどに美味しい瞬間がキラキラと連続して
いきます。
そんなジャガイモの味わいを感じると直ぐに現れるのが、
鶏と豚の白湯スープの優雅な味わい。
包容力のある豚の柔らかな質感によって、鶏のすーっと浮
かび上がる立体的な旨味の明瞭さが、ベジポタのスープか
ら独立せず、心地よいハーモニーを描きながら、軽やかに
存在します。
そしてこの鶏と豚の白湯スープからなる動物系の旨味が、
めんりすとさんの白湯だけがもつ圧倒的なキメの細かさと
滑らかさによって、絵に描いた様に美しいカーブをもって
口どけします。
その雑味なき美しい口どけ感の、なんと凛としてしなやか
な曲線美・・・、この質感はまさに神がかり的!!
そして動物系スープの口どけ感の先に、じわっと持続的に
残るポタージュの味わいが再び舌を転がり、ラストでバタ
ーの油脂感を再び浮かべることで濃厚にした柔らかな旨味
がポッと浮き上がるのです。
動物系スープの美しい口どけ感と滑らかさが、ポタージュ
の軽くザラッと舌をなでるような質感と持続力との対比に
よってより劇的に演出されます。
し・ろ・ど・りがみせるストイックな動物系スープの美意
識を誰よりも愛してきた私ですが、べじたぼー!ならでは
の豪華な装飾からこそ生み出される演出もまた堪らなく心
に響きます。
この動物系スープとポタージュスープの二枚の色気の重な
りと対比が、テクニカルだけに終わらない圧倒的にエモー
ショナルな時間を生み出しています!!
そしてフィニッシュでは、言われてようやく気付くであろ
う微かに香るセロリの個性が輝きを放ちます。
セロリの清涼なる質感はこの重厚なスープの後味をべたつ
かせず、さらには旨味をすっと口どけさせつつ、香味で味
あわせる様な、いかにもめんりすとさんらしいエレガント
さに満ち満ちた世界を演出します。
この「べじたぼー!」、この時点ですでにシンプルな美味
しさと、技巧美による装飾溢れたゴージャスさを兼ね備え
た究極のスープといえる内容であるのですが、さらにここ
から更なるオペラチックな演出が施されます。
そんな謎の転校生状態にドラマを彩るアイテムが、写真に
浮かぶ赤い球体・・・、そう、これがトマトソースのシャ
ーベット!!
トマトの酸味、コクウマ感が、スープに溶け出すと、スー
プの温度がすっと下がり、よりスープのもつ繊細で複雑な
旨味が舌に馴染みやすくなり、その味わいが体の奥にまで
染みいるかのよう。
トマトソースの味わいが、意味もなく混沌とすることはな
く、あくまでもポタージュスープの旨味に添えられたソー
スかのように適度に二層化した味わいを成すあたりも秀逸
。
味変というアプローチでありつつも、それが遊び心やスナ
ッキーさとして感じられるのではなく、まるで作り手が食
べる側に投じてみた新しい美食の定義とすら思えるよう。
そこにはラーメンのスープは熱ければ熱いほど美味しいと
いう常識に対して、「この温度でしか味わうことのできな
い美味しさがある」という主張が含まれているのかも。
フランス料理におけるスープの温度が、日本人にはいくら
かぬるめであるように、素材の美味しさを等身大で味わう
時に相応しい温度というものは案外、低いものなのかもし
れません。
この作品は、冒頭で食べる側が長い間親しみを感じてきた
『熱々スープの美味しさ』を楽しませつつ、そこからトマ
トソースのシャーベットのトッピングによって、めんりす
とさんが考える『美味しさの絶対温度』にスープを誘いま
す。
恐らくこの作品を食べた殆どの方は、温度が変わった時に
スープの旨味がぐっと深くなっていくことに驚かされるは
ずです。
作り手の芸術性と食べる側の娯楽性をこの一杯に重ねるこ
とで、めんりすとさんの描こうとする芸術性が、さらに深
いところまで食べる側の体に響きやすく仕立てられている
ように感じられます。
マイタケのトッピングも、飾りに終わらない素晴らしさ。
マイタケのほろ苦さが、スープに香り、味わいを大人びた
ものに仕立てつつ、キノコ系ならではの曇りを流しません
。
調理方法の拘りが、細かいところにまできっちり届いてい
ます。
そして麺。
今回の麺はラーメンろたすさんの麺を使用しています。
麺の提供をOKするろたすさんの懐も凄いです。
ベジポタでは既にその実力を認められているろたすさんだ
からこそ「他店がやりたいことをやり切った最高傑作と勝
負したい」という気持があるのかもしれません。
そして一方では、最高傑作をつくるためには、他店の麺で
あっても使用をお願いするめんりすとさんも凄い。
自分の店の宣伝のためなら、自分の店の麺を使うべきこと
は明らか。それでもなお自分が描く最高傑作に徹してベス
トな麺を選ぼうとします。
これぞガチ、これぞ本気勝負と思えます。
それにしても、めんりすとさんがここで突然ろたすさんの
麺を用意してきたのは驚きましたね。
めんりすとさんって、ろたすさんで煮干しのラーメンを食
べている時にもきっと「自分だったらこの麺にどんなスー
プを合わせるだろうか? この麺ならベジポタには合いそ
うだな・・・」とか考えているんでしょうね。
なんか、プロフェッショナル、ベジフェッショナルを感じ
ますよね。
ちなみに麺の質感は、ろたすさんとめんりすとさんでは、
明らかに異なっています。
恐らくめんりすとさんは、ろたすさんよりもいくらか麺の
張りを抑えて使用していますね。
ろたすさんが濃厚スープの旨味をキリッと出そうとする麺
の茹で具合に対して、めんりすとさんはスープに絡んだ麺
の舌触りに焦点を置いた茹で具合という印象です。
そんなろたすさんのプライドと、めんりすとさんのプライ
ドが濃厚に詰まったこの麺・・・、本当に本当に美味い!
!
べじたぼー!スープに絡んだこの麺の舌触り、噛んで浮き
上がる穀物の旨味といった美味しさの表現の一連の流れが
、あまりにあまりに素晴らしい!!
麺そのものが美味しいのはもちろん、この麺が持つ全ての
ポテンシャルを、べじたぼー!スープに完璧に調和する茹
で時間によって表現しているように思えます。
この一杯、完璧に相応しい一杯です。
スープの調律、トッピングの調律、麺の調律を完璧に施し
たが上のアンサンブルの美しさ、絶対音感ならぬ絶対味覚
による乱れのなさがゆえの全てが凛凛と輝く風味の美しさ
を覚えます!!
この企画を通じて、初めてめんりすとさんを訪問した方も
いるかもしれませんが、そのような方々にも「これがめん
りすとクオリティーです」と一生忘れられないキザな挨拶
を決めてくれる快作ですね!!!
もし君がこの作品を未食だとするならば、是非この機会に
体験してみて下さい。
この作品、君の知っているラーメンの一つ向こうの世界に
ある一杯ですよ!!
※ そしてここでお詫び。このベジポタ企画が始まる前、
めんりすとさんを最下位と予想していました(しかもそこ
そこ自信があった)。すいません。めんりすとさんはベジ
ポタのようないくらかジャンクに濃厚なラーメンは好きで
はなさそうなので、売れるベジポタを作らないと思ってい
たものですから…。まさか上品さをここまで濃厚にするこ
とでベジポタ道を極めてくるとは全然思ってもみませんで
した。正直、この「べじたぼー!」は食べた人が全員満点
評価してもおかしくない一杯だと思います。この作品を今
回の企画の優勝候補の一つとして考えて当然と思いますし
、そう考えなかったら頭おかしいと思われても仕方がない
超名作だと思います。戦前に最下位を予想して、企画が始
まったら一転して優勝と予想したりすると、それこそ自称
めんりすとファンクラブだからこその出来レースレビュー
と思われてしまいそうで心配ですが、本当にそう思ってい
たんだから仕方なんいだぜ!!
いずれにしてもこの作品こそが今回企画の台風の目である
ことは間違いありません。そしてこれだけの作品を作って
滝行喰らったとしたら、理由はただ一つ、それはイケメン
男性店員がいない唯一のお店だからに他なりません。とい
う訳で、もしめんりすとさんが滝行喰らったときには、こ
れはもうイケメンの私がアルバイトの面接受けてみるしか
ないね(笑)!!
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2012/10/29 00:08
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