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めんりすとさんのべじたぼ~!
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2024/04/19 15:04
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めんりすとさんのべじたぼ~!
めんりすとさんのべじたぼ~!@第2次ラーメン大戦争ベジポタ対決
これ、本気の本気で美味いです。そして巧い!!
技術とキャリアとセンスがここまで凝縮された料理という
ものは、そうそう出会えるものではないと思います。
鶏と豚の白湯スープに、ジャガイモを中心とするポタージ
ュスープをあわせ、トッピングで様々な風味の彩りを施し
た作品であります。
さくっと頂いて、きっちりわかりやすい美味しさと舌触り
、香り高さを主張する、ラーメンらしい快活さを表現しま
す。
そして耳を澄ますように、少しその風味の奥深いところに
気持ちを寄せると、驚くほどに広がりを感じさせる細やか
で贅沢な味わいが品よく配置されています。
少し下品さを出してジャンクにまとめられがちなベジポタ
系において、フレンチでポタージュスープを頂いているか
のように上品さを強く意識しながら、明瞭な味わいと深い
味わいを両立させてラーメンとしてまとめてきたのは、十
二分に期待して頂いたにもかかわらず、明らかに予想以上
のクオリティーでした。
店主様によると、今回のベジポタ対決にむけて、20以上
のレシピと試作サンプルを繰り返した中で、最終的に最初
に作ったこの作品を採用したとのこと。
20以上の試作って・・・、実はこっそりと気合入れて取
り組んでいるじゃないですか!!
そんな店主様のファーストインプレッション的な作品が今
回のべじたぼ~!でありますが、まずは目を引くのがトッ
ピング。
毎回絶賛してますが極上の三島豚のチャーシューはもちろ
ん、そこにサラダホウレンソウの鮮やかなグリーン、そし
てマイタケの愛くるしい表情・・・、そしてそしてミニト
マトかラディッシュかとも思う様な赤い丸い物体・・・。
これが何とトマトのシャーベット!!
そんなトッピングに目を奪われながら、スープを一口。
美味いっ!!
驚いたのは鶏油の美味しさ!!
今まで頂いたスープの中で、この作品の鶏油の味わいが圧
倒的に美味い!!
通常めんりすとさんの作品は、鶏油の上にスープを加える
ことで、スープとオイルを絡めて提供されますが、今回の
作品はあえてスープの上に鶏油をかけるスタイルにするこ
とで、ベースのポタージュスープの植物系ならではの繊細
な味わいを曇らせないアレンジが施されています。
その結果鶏の表情が生き生きと、鮮やかな黄色い味わいを
奏で、濁りを一切感じさせない味わいに・・・、スープと
の相性なのかもしれませんが、この鶏の表情が本当に素晴
らしい!
即死に値する鶏肉入りのクリームシチューを頂いたくらい
の感動が、何気にこの浮かぶ鶏油に感じさせられてしまい
ました。
スープは口当たりに、ポタージュに含まれるジャガイモの
白くマットな味わいと共にじゃがいもの皮を思わす様な苦
味・・・、これがポタージュに仕込まれた隠し味ポワロの
個性なのでしょうね、を感じさせ、そこから軽くザラッと
したジャガイモ本来の柔らかい味わいを舌に重ねます。
そこに鶏と豚の白湯スープが滑らかにすらっとその味わい
を舌に溶け込ませますが、ジャガイモの個性によって、め
んりすとさんの驚異的に雑味のない滑らかなスープが、ゆ
ったりとした口どけと、ゆったりとした舌での転がりをつ
くり、名作『し・ろ・ど・り』よりもワンテンポゆったり
とその旨味を奏で、そのじわっと心に迫ってくる温かい表
現に息をのみます。
さらにはこのベジポタ、後味が重くないのが何よりもの巧
さ。
ポタージュスープの後味には、鮮やかで清涼な表情がすっ
と加えられ、ふくよかなその表情にキレが加わります。
それが最後まで品の良い味わいに仕立てられている秘密。
さらにはこのフィニッシュに一瞬感じるこの爽快さの正体
は・・・、どうやらこれ、セロリのようですね。
めんりすとさんがツイッターでセロリを加えていることを
公言したからこそ気付くことができたとしても、何も知ら
ずにさらっと味わっただけでは気付くか気付かないか、む
しろ気付かない寄りのギリギリのバランス。
この多彩な技を表現しながら、節度を崩さないめんりすと
さんらしい表現が、同時に間違いのない美しい味わいを生
んでいます。
またセロリの個性はこのフィニッシュの一瞬だけで終わり
ません。
フィニッシュを爽快にまとめると同時に、次の一口におけ
る臭覚、味覚を一旦クリアにし、そこからの一つ一つの味
わいを常に新鮮なものとします。
そして節度あるといえば、このポタージュに仕込まれた玉
ねぎのセンス!!
玉ねぎの旨味を出してスープをもこっとさせてしまうこと
なく、玉ねぎの味わいでむしろジャガイモの味わいにコク
を加えつつも張りも感じさせるかのよう。
そんな技巧と節度を共鳴させた結果、このべじたぼ~はベ
ジポタ特有の混沌とした個性ではなく、マットにしてどこ
かクリアなその表情に仕上がっており、そこがなるほどめ
んりすとさんならではのクオリティーと確信するところ。
今回のベジポタというテーマは、めんりすとさんにとって
は「ジャンクの限界」と考えているであろうジャンルなが
ら、美味しいものに仕上げるのはもちろん、そこにめんり
すとらしさを絶対に崩さないという強烈な作家性を感じま
す。
そしてこの作品、このスープの素晴らしさだけにその興味
が終わりません。
間違いなく記憶に刻み込まれるであろう味わいが、そのユ
ニークなるトッピングから生まれます。
最もインパクトの大さを覚えさせるのが、トマトのアイス
ボール。
トマト本来の味わいをスープに重ねる名作「ら・みしま」
とは異なり、こちらはトマトの濃厚な味わいをさらにタレ
を使って仕立てているようです。めんりすとさんの調合に
よるそのトマト味の球体は独特の甘旨さとコク、さらには
うすらシャープにならない穏やかな酸味を感じさせます。
そして何より嬉しいのが、この味わいが不思議とスープに
あうんです!!
トマトの旨味が加わってなお、ポタージュの繊細さはつぶ
れず、鶏豚の豊満さとポタージュの柔らかさの中で、トマ
トが口当たりのコクと、後味の押し上げを演出します。
イメージとしてはポタージュが穏やかな旨味に仕立てた鶏
豚の味わいに、トマトの味わいはサラリではなくトロリと
濃厚なソースかのように絡む印象。それでいてそのトマト
とタレの風合いが洋に走らず、どこか和の風合いにとどま
る為に、スープがラーメンからはずれることなく、しっか
りと麺の存在意義を楽しませるものであり続けています。
またスープの表面の温度を、アイスボールの冷やかさが適
度に落ち着かせることで、スープの口当たりを穏やかにし
ながら、その味わいの深みを確実に舌に染みわたらせるあ
たりが超私好みで嬉しい限り!!
アイスボールは、シャーベットというよりはその濃厚さか
らソルベにも似た質感を持ち、スープの温かさにおいても
ゆったりと溶けていくように仕立てられています。
だから口当たりを柔らかくしつつも、スープ全体の温度は
下げ過ぎないという絶妙さ。
さりげないけど、ちょっと意識を置くと、やたらに細部へ
の拘りが伝わってくるというめんりすとさんならではの緻
密さを覚えます。
このスープの温度のコントロールは一つのキモですね。
実は以前から高く評されてきた言える某店のベジポタでも
、温度が本来あるべきものよりも高過ぎて、全体として味
わいが尖ったり、バラけてしまうような面も感じられてい
たのですが、それをこのアイスボールのアレンジが、ゆる
やかに抑えてくれるのです。
さらには一見地味ながら、マイタケのトッピングも確かに
確かにさりげなく極上。
マイタケなどのキノコ類を加えたスープにありがちな曇っ
た味わいや、キノコ自体の張りの抜けた旨味、あるいはソ
テーされたが故の炒め油のギスギスした風味の流出・・・
、そういったものが一切感じられません。
マイタケの本来の旨味をきちっと内包し、スープにそのほ
ろ苦さをもった旨味を混ぜるのではなく、重ねることによ
って、ポタージュスープの味わいをより立体的に導きます
。
緑鮮やかな葉物野菜のトッピングも、美しさだけでなく、
それがスープを濁すことなく、むしろポタージュに含まれ
る香味野菜の表情を動物系スープに繋げるかのように感じ
られ、これまた見事。めんりすとさんのツイッターによる
と、これサラダホウレンソウなのだそうです。
一つ一つのアレンジが個性的で、魅力的ながら、味わって
みるとその全てに必然性を感じさせられます。
このべじたぼ~!、麺、そしてスープ、さらにはトッピン
グまで、本気のハイレベルで、ハイクオリティーです。
20以上のベジタボ試作品から選ばれたこの一杯は、めん
りすとさん曰く「無難なものを選んだ」そうですが、これ
だけ才色兼備な一杯は他では味わえないものでありましょ
う。
ひょっとしたら物凄い平均点を出してくるのではないかと
予感させる、超お上品なモンスターです。
未食の方は、本気で味わいましょう。
その本気に、本気で答えを返してくれる美食です!!!
(※ 当レビュアーは勝手レビュアー故に、記載された内
容は正規の方法で取材されたものではなく、レビュアーの
主義志向及び勘違いによるものです。くれぐれも皆様自身
の味覚、嗅覚、視覚にてご判断いただけますよう宜しくお
願いします)
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2012/10/07 23:48
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