忍者ブログ

疾走日記

美味しい話

めんりすとさんのべじたぼ~!

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

めんりすとさんのべじたぼ~!

めんりすとさんのべじたぼ~!@第2次ラーメン大戦争ベジポタ対決
 
これ、本気の本気で美味いです。そして巧い!!
技術とキャリアとセンスがここまで凝縮された料理というものは、そうそう出会えるものではないと思います。
鶏と豚の白湯スープに、ジャガイモを中心とするポタージュスープをあわせ、トッピングで様々な風味の彩りを施した作品であります。
さくっと頂いて、きっちりわかりやすい美味しさと舌触り、香り高さを主張する、ラーメンらしい快活さを表現します。
そして耳を澄ますように、少しその風味の奥深いところに気持ちを寄せると、驚くほどに広がりを感じさせる細やかで贅沢な味わいが品よく配置されています。
 
少し下品さを出してジャンクにまとめられがちなベジポタ系において、フレンチでポタージュスープを頂いているかのように上品さを強く意識しながら、明瞭な味わいと深い味わいを両立させてラーメンとしてまとめてきたのは、十二分に期待して頂いたにもかかわらず、明らかに予想以上のクオリティーでした。
 
店主様によると、今回のベジポタ対決にむけて、20以上のレシピと試作サンプルを繰り返した中で、最終的に最初に作ったこの作品を採用したとのこと。
20以上の試作って・・・、実はこっそりと気合入れて取り組んでいるじゃないですか!!
 
そんな店主様のファーストインプレッション的な作品が今回のべじたぼ~!でありますが、まずは目を引くのがトッピング。
毎回絶賛してますが極上の三島豚のチャーシューはもちろん、そこにサラダホウレンソウの鮮やかなグリーン、そしてマイタケの愛くるしい表情・・・、そしてそしてミニトマトかラディッシュかとも思う様な赤い丸い物体・・・。これが何とトマトのシャーベット!!
 
そんなトッピングに目を奪われながら、スープを一口。
美味いっ!!
 
驚いたのは鶏油の美味しさ!!
今まで頂いたスープの中で、この作品の鶏油の味わいが圧倒的に美味い!! 
通常めんりすとさんの作品は、鶏油の上にスープを加えることで、スープとオイルを絡めて提供されますが、今回の作品はあえてスープの上に鶏油をかけるスタイルにすることで、ベースのポタージュスープの植物系ならではの繊細な味わいを曇らせないアレンジが施されています。
その結果鶏の表情が生き生きと、鮮やかな黄色い味わいを奏で、濁りを一切感じさせない味わいに・・・、スープとの相性なのかもしれませんが、この鶏の表情が本当に素晴らしい!
即死に値する鶏肉入りのクリームシチューを頂いたくらいの感動が、何気にこの浮かぶ鶏油に感じさせられてしまいました。
 
スープは口当たりに、ポタージュに含まれるジャガイモの白くマットな味わいと共にじゃがいもの皮を思わす様な苦味・・・、これがポタージュに仕込まれた隠し味ポワロの個性なのでしょうね、を感じさせ、そこから軽くザラッとしたジャガイモ本来の柔らかい味わいを舌に重ねます。
そこに鶏と豚の白湯スープが滑らかにすらっとその味わいを舌に溶け込ませますが、ジャガイモの個性によって、めんりすとさんの驚異的に雑味のない滑らかなスープが、ゆったりとした口どけと、ゆったりとした舌での転がりをつくり、名作『し・ろ・ど・り』よりもワンテンポゆったりとその旨味を奏で、そのじわっと心に迫ってくる温かい表現に息をのみます。
 
さらにはこのベジポタ、後味が重くないのが何よりもの巧さ。
ポタージュスープの後味には、鮮やかで清涼な表情がすっと加えられ、ふくよかなその表情にキレが加わります。
それが最後まで品の良い味わいに仕立てられている秘密。
さらにはこのフィニッシュに一瞬感じるこの爽快さの正体は・・・、どうやらこれ、セロリのようですね。
めんりすとさんがツイッターでセロリを加えていることを公言したからこそ気付くことができたとしても、何も知らずにさらっと味わっただけでは気付くか気付かないか、むしろ気付かない寄りのギリギリのバランス。
この多彩な技を表現しながら、節度を崩さないめんりすとさんらしい表現が、同時に間違いのない美しい味わいを生んでいます。
またセロリの個性はこのフィニッシュの一瞬だけで終わりません。
フィニッシュを爽快にまとめると同時に、次の一口における臭覚、味覚を一旦クリアにし、そこからの一つ一つの味わいを常に新鮮なものとします。
 
そして節度あるといえば、このポタージュに仕込まれた玉ねぎのセンス!!
玉ねぎの旨味を出してスープをもこっとさせてしまうことなく、玉ねぎの味わいでむしろジャガイモの味わいにコクを加えつつも張りも感じさせるかのよう。
 
そんな技巧と節度を共鳴させた結果、このべじたぼ~はベジポタ特有の混沌とした個性ではなく、マットにしてどこかクリアなその表情に仕上がっており、そこがなるほどめんりすとさんならではのクオリティーと確信するところ。
 
今回のベジポタというテーマは、めんりすとさんにとっては「ジャンクの限界」と考えているであろうジャンルながら、美味しいものに仕上げるのはもちろん、そこにめんりすとらしさを絶対に崩さないという強烈な作家性を感じます。
 
そしてこの作品、このスープの素晴らしさだけにその興味が終わりません。
間違いなく記憶に刻み込まれるであろう味わいが、そのユニークなるトッピングから生まれます。
 
最もインパクトの大さを覚えさせるのが、トマトのアイスボール。
トマト本来の味わいをスープに重ねる名作「ら・みしま」とは異なり、こちらはトマトの濃厚な味わいをさらにタレを使って仕立てているようです。めんりすとさんの調合によるそのトマト味の球体は独特の甘旨さとコク、さらにはうすらシャープにならない穏やかな酸味を感じさせます。
 
そして何より嬉しいのが、この味わいが不思議とスープにあうんです!!
 
トマトの旨味が加わってなお、ポタージュの繊細さはつぶれず、鶏豚の豊満さとポタージュの柔らかさの中で、トマトが口当たりのコクと、後味の押し上げを演出します。
イメージとしてはポタージュが穏やかな旨味に仕立てた鶏豚の味わいに、トマトの味わいはサラリではなくトロリと濃厚なソースかのように絡む印象。それでいてそのトマトとタレの風合いが洋に走らず、どこか和の風合いにとどまる為に、スープがラーメンからはずれることなく、しっかりと麺の存在意義を楽しませるものであり続けています。
 
またスープの表面の温度を、アイスボールの冷やかさが適度に落ち着かせることで、スープの口当たりを穏やかにしながら、その味わいの深みを確実に舌に染みわたらせるあたりが超私好みで嬉しい限り!!
アイスボールは、シャーベットというよりはその濃厚さからソルベにも似た質感を持ち、スープの温かさにおいてもゆったりと溶けていくように仕立てられています。
だから口当たりを柔らかくしつつも、スープ全体の温度は下げ過ぎないという絶妙さ。
さりげないけど、ちょっと意識を置くと、やたらに細部への拘りが伝わってくるというめんりすとさんならではの緻密さを覚えます。
 
このスープの温度のコントロールは一つのキモですね。
実は以前から高く評されてきた言える某店のベジポタでも、温度が本来あるべきものよりも高過ぎて、全体として味わいが尖ったり、バラけてしまうような面も感じられていたのですが、それをこのアイスボールのアレンジが、ゆるやかに抑えてくれるのです。
 
さらには一見地味ながら、マイタケのトッピングも確かに確かにさりげなく極上。
マイタケなどのキノコ類を加えたスープにありがちな曇った味わいや、キノコ自体の張りの抜けた旨味、あるいはソテーされたが故の炒め油のギスギスした風味の流出・・・、そういったものが一切感じられません。
マイタケの本来の旨味をきちっと内包し、スープにそのほろ苦さをもった旨味を混ぜるのではなく、重ねることによって、ポタージュスープの味わいをより立体的に導きます
 
緑鮮やかな葉物野菜のトッピングも、美しさだけでなく、それがスープを濁すことなく、むしろポタージュに含まれる香味野菜の表情を動物系スープに繋げるかのように感じられ、これまた見事。めんりすとさんのツイッターによると、これサラダホウレンソウなのだそうです。
一つ一つのアレンジが個性的で、魅力的ながら、味わってみるとその全てに必然性を感じさせられます。
 
このべじたぼ~!、麺、そしてスープ、さらにはトッピングまで、本気のハイレベルで、ハイクオリティーです。
 
20以上のベジタボ試作品から選ばれたこの一杯は、めんりすとさん曰く「無難なものを選んだ」そうですが、これだけ才色兼備な一杯は他では味わえないものでありましょう。
 
ひょっとしたら物凄い平均点を出してくるのではないかと予感させる、超お上品なモンスターです。
未食の方は、本気で味わいましょう。
その本気に、本気で答えを返してくれる美食です!!!
 
(※ 当レビュアーは勝手レビュアー故に、記載された内容は正規の方法で取材されたものではなく、レビュアーの主義志向及び勘違いによるものです。くれぐれも皆様自身の味覚、嗅覚、視覚にてご判断いただけますよう宜しくお願いします)
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

プロフィール

HN:
alphabetical anagrammer
性別:
非公開

カテゴリー

P R