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疾走日記

美味しい話

めんりすとさんのフル~ツ☆ク~ラ~!

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めんりすとさんのフル~ツ☆ク~ラ~!

めんりすとさんのフル~ツ☆ク~ラ~!
in ラーメン大戦争勃発!「お前ならフルーツをどう扱う?」ビリの店主はバンジージャンプ!!!
 
めんりすとさんのフルーツラーメン対決の一杯がこちら。
大戦前のめんりすとさんのツイートを読んでいると、なんだか迷走しているんじゃないかと心配はありましたが、流石に本番には「これしかない!」という一杯を持ってきましたね。
 
正直、素晴らしく美味しいです。
私の好みの角度からの感覚かもしれませんが、単純に美味しいかどうかという視点においては、ぶっちゃけちょっと抜けた存在だと思いました。
まあ、私はめんりすとさんの涼麺のかけ(トッピングなし)を全てのラーメンの中で最高峰に評価していますので、その涼麺がベースとなったこの一杯を美味しいと思わないはずがないのです。
 
で、このフル~ツ☆ク~ラ~!、恐らくは誰が食べても美味しいとは思うのですが、二つだけ弱点があります。
一つは冷やしラーメンということで、季節感にややかけるということ。
もちろん夏仕様のように氷できゅっと冷やされているわけではありませんが、少なくともラーメンは熱々でなければならないという向きにはいささか不都合な一杯であることは確かです。
しかし私としては、これがむしろ嬉しいくらい!!
 
そもそもめんりすとさんといえばフレンチシェフであります。
フレンチのスープらしい「ぬるめだからこそ伝えられる素材のデリケートな風味」が、フレンチシェフの手によってラーメンのような比較的ザックリ味あわせるジャンルの料理に再現されていることは、面白さというよりも、むしろ美食の本道であるかのように、説得力に溢れた美しさを感じさせます。そして心から満足させてくれるのです。
 
特に今回の仕様は、夏使用の涼麺のように氷という冷やかさにもより過ぎず、しかしぬるめよりも冷やかであるという、旨味の締まりを最も魅力的に生かす仕様であるのです
 
前回のベジポタ対決で提供されたべじたぼ~!は、ぬるめの温かさを意図的に狙うことで、穏やかな風味を豊満に仕立てると同時に、舌触りの滑らかさを極限まで表現した一杯となっていました。
そして今回のフルーツラーメン対決では、春仕様の冷やしという選択によって、使用される複雑な魚介出汁の風味の構築を密度を上げて旨味に変換していく様な、ずばっと一直線に筋を通したような旨味を発揮しているのです。
この極端にならない肌馴染みの良い温度におけるアプローチをこの二度の対決の中で示し、同時にめんりすとさんが得意とする白湯スープのキメの細かさ滑らかさと、魚介出汁の複雑にして緻密な味わいというもので勝負されていることが、何とも嬉しくも贅沢な限り!!
これぞめんりすとワールドという世界を、この2作で完全に再現してみせようとする気概を感じるのです!!
 
しかも今回の作品における冷やかさは、スープの魅力を最大限に伝えると同時に、対決の主題であるフルーツの味わいにキレを出し、甘味をぐずつかせないことにも貢献しています。
味わい、香り、風味において一切の欠点を感じさせない完璧主義者ならではの作品に仕上がっています。
 
・・・が、そんなめんりすとさんの美意識はさておき、食べる側の私から見た時、常識的に考えるとフルーツを冷やしラーメンに使う方が温かなラーメンに使うよりも容易であるようには思えます。
しかも戦前に公開されていた。写真を見る限り、名作涼麺にフルーツを置いただけにしか見ません。 
正直なことを言うと、めんりすと完全読本の作者である程のめんりすとファンの私自身が、今回の作品に過度のワクワクを抱けないでいました。
 
そのことが、この作品のもう一つの欠点だと思うのです。
涼麺を食べたことがある人が、「予想できる味わい」と誤解してしまう可能性が高いのです。
 
しかーし!!!!
めんりすとファンだからではなく、あくまでラーメンファンとしての立場で語りますが、
この作品をオリジナル涼麺と同系統の一杯だと思ったとしたら大間違いであります。
オリジナル涼麺を味わった人であれば必ず驚くであろうこの世界観、味わいの向こう側に広がるその甘美にして華やいだ景色は、むしろオリジナル涼麺とは対極にあたる性格を有しているのです。
 
オリジナル涼麺の魅力をこれまで指が疲労骨折する程にレビューしてきた私ですが、オリジナル涼麺の魅力は間違いな贅沢な魚介出汁で複雑に構築されたその旨味を繊細に深く味あわすことにあるはずです。
そしてそこに用いられる魚介出汁、特に節系の個性がみせる枯れ感といいますか、哲学めいて大人びたその表情は、スープの味わいから軽薄さを一切排除したまま深く深くにまで食べる側の意識を引き込んでいくのです。
全ての風味がその輪郭を凛とさせ、圧倒的な透明感によってその繊細さが明瞭な形で目の前に突きつけられ、その繊細さの奥にある深い味わいに舌の焦点がぐいぐいと合わされていくこの感覚は、オリジナル涼麺だけが持つ、絶対的にして圧倒的な味わいだと確信しています。
複雑な風味にして、その全ての風味が一つの世界に向かって緻密化していく様な、ストイックさの極みのような味わいこそがこのオリジナル涼麺の魅力なのであります。
 
そしてそんなオリジナル涼麺の魅力を体験している人が、このフル~ツ☆ク~ラ~!を味わうならば、必ずやそこにオリジナル涼麺とは相反する、対極的な世界を感じ取れるはずなのです。
 
フル~ツ☆ク~ラ~!は衝撃的な一杯です。
トッピングされたフルーツの個性は、魚介出汁、魚介節が持つ枯れ感を、潤いある、若くてハツラツとした、さらには気持ちがウキウキする様な個性に導きます。
サバなどの酸味のある魚介節の気難しくも知的な味わいが不思議とフルーツの酸味に引き込まれ、華やかな香味とともに舌先をうるると撫でる様な軽やかにして明るい味わいとして演出されて行きます。
 
こ、これは凄いですよ!!!
 
フルーツの個性が完全無欠にスープに調和しています!!
フルーツなしでは成立しえない美味しさが、一切の無駄なく表現されているのです!!
 
信じがたいことに、魚介出汁とフルーツの個性の重なりにまるで濁りや、ブレが感じられません。
透明感あふれる魚介出汁の中に、フルーツの鮮やかな色彩が水彩画を眺めるかのように、淡くもするりと溶け込んでいきます。
 
オリジナル涼麺がシャブリとするならば、このフル~ツ☆ク~ラ~!はジョルジュ・デュブッフ氏が理想とするボジョレー・ヌーヴォーの味わいでありましょう。
この心が明るく弾む様な感覚は、オリジナル涼麺のストイックさからは感じにくい開放的な心地よさがあるのです。
 
そしてそんな魚介出汁とのマリアージュに長けたフルーツの酸味に対し、一方でフルーツの甘味はいくらか独立気味にその個性を奏でます。
イチゴ、パイナップル、キウイ、オレンジ、ピンクグレープフルーツといった果実の甘味が、それぞれの間合いですっと顔を出し、この作品の随所で愛くるしさというインパクトを残します。
いくつもの果実の個性が次から次へと感じられるその展開は、まるで優れた短編集を読んでいるかの印象で、一つ一つの果実の個性がはっきりと愛らしく、それでいて全てを読み終えたときにはそれぞれの物語の流れの中に一つに統一された世界観を感じさせることで、このフル~ツ☆ク~ラ~!に読み応えならぬ食べ応えを残すのです。
この作品には、間違いなくフルーツの数だけの喜びが存在しています。
万華鏡を回転させるかのように、その場にある美しさに喜びながら、次の展開を楽しみにさせる感覚があります。
 
フルーツのラーメンは数あれど、一口ごとに美味しさが増し、飽きるどころか加速的に味わうことへの欲求が高まっていく作品はそうはないはずです。
本格的な魚介スープの説得力と、フルーツが導くテンポの良い華やかなる味わいが、時間を忘れさせるかのように箸と蓮華を回転させ続けてくれるのです。
 
そんなフルーツに加えた更なるトッピングとしては、レタスを中心としたサラダ、豚しゃぶ、それに添えられたポン酢ジュレ?がみられます。
キレと透明感のある魚介出汁の個性と、甘酸っぱく華やかなフルーツの個性のコントラストの強さが煩わしくならないように、この中間でこれらトッピングが適度に個性的な風味を散りばめるという作為溢れたコーディネートもまた巧さが際立っています。
中でもポン酢ジュレの存在が光っています。
このフルーティーな香味と風味に溢れた作品を、洋テイストに走らせすぎず、しっかりと軸足をラーメンに落ち着かせる重要な役割を担っています。
 
素晴らしい作品です。
めんりすとさんのシンプル系の作品にありがちな、気張らずにさらっと作ったふりをしながら、実は相当に計算されつくした一杯であることがよく伝わります。
 
実は今回のこの作品は、店主様のフルーツラーメンのレシピ70以上の中から絞り込まれた究極の一杯でもあります
私が天才料理人と評するその店主様が自ら納得したその味わいというものを、皆さんも知ってみたくはありませんか
そして特に、オリジナル涼麺における感動を体験済みだというファンの方には是非お伝えをしておきたいと思います
この一杯はその時に開かれたあの美しき世界とは全く異なるものでありながら、同時にそれに匹敵するほどの美意識に彩られています。
ラーメンに美しさを求め、それを楽しめる全てのファンにとって、間違いなく必食の一杯です!!

このコラボ企画では、数店をハシゴされる方も多いと思います。
しかし最初の一杯に選ぶべき作品は、間違いなくフル~ツ☆ク~ラ~!でありましょう。
その隅々まで彩られた美しさを是非是非ご堪能くださいませ!!
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