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めんりすとさんのフル~ツ☆ク~ラ~!
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2024/04/20 19:50
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めんりすとさんのフル~ツ☆ク~ラ~!
めんりすとさんのフル~ツ☆ク~ラ~!
in ラーメン大戦争勃発!「お前ならフルーツをどう扱う?」
ビリの店主はバンジージャンプ!!!
めんりすとさんのフルーツラーメン対決の一杯がこちら。
大戦前のめんりすとさんのツイートを読んでいると、なん
だか迷走しているんじゃないかと心配はありましたが、流
石に本番には「これしかない!」という一杯を持ってきま
したね。
正直、素晴らしく美味しいです。
私の好みの角度からの感覚かもしれませんが、単純に美味
しいかどうかという視点においては、ぶっちゃけちょっと
抜けた存在だと思いました。
まあ、私はめんりすとさんの涼麺のかけ(トッピングなし
)を全てのラーメンの中で最高峰に評価していますので、
その涼麺がベースとなったこの一杯を美味しいと思わない
はずがないのです。
で、このフル~ツ☆ク~ラ~!、恐らくは誰が食べても美
味しいとは思うのですが、二つだけ弱点があります。
一つは冷やしラーメンということで、季節感にややかける
ということ。
もちろん夏仕様のように氷できゅっと冷やされているわけ
ではありませんが、少なくともラーメンは熱々でなければ
ならないという向きにはいささか不都合な一杯であること
は確かです。
しかし私としては、これがむしろ嬉しいくらい!!
そもそもめんりすとさんといえばフレンチシェフでありま
す。
フレンチのスープらしい「ぬるめだからこそ伝えられる素
材のデリケートな風味」が、フレンチシェフの手によって
ラーメンのような比較的ザックリ味あわせるジャンルの料
理に再現されていることは、面白さというよりも、むしろ
美食の本道であるかのように、説得力に溢れた美しさを感
じさせます。そして心から満足させてくれるのです。
特に今回の仕様は、夏使用の涼麺のように氷という冷やか
さにもより過ぎず、しかしぬるめよりも冷やかであるとい
う、旨味の締まりを最も魅力的に生かす仕様であるのです
。
前回のベジポタ対決で提供されたべじたぼ~!は、ぬるめ
の温かさを意図的に狙うことで、穏やかな風味を豊満に仕
立てると同時に、舌触りの滑らかさを極限まで表現した一
杯となっていました。
そして今回のフルーツラーメン対決では、春仕様の冷やし
という選択によって、使用される複雑な魚介出汁の風味の
構築を密度を上げて旨味に変換していく様な、ずばっと一
直線に筋を通したような旨味を発揮しているのです。
この極端にならない肌馴染みの良い温度におけるアプロー
チをこの二度の対決の中で示し、同時にめんりすとさんが
得意とする白湯スープのキメの細かさ滑らかさと、魚介出
汁の複雑にして緻密な味わいというもので勝負されている
ことが、何とも嬉しくも贅沢な限り!!
これぞめんりすとワールドという世界を、この2作で完全
に再現してみせようとする気概を感じるのです!!
しかも今回の作品における冷やかさは、スープの魅力を最
大限に伝えると同時に、対決の主題であるフルーツの味わ
いにキレを出し、甘味をぐずつかせないことにも貢献して
います。
味わい、香り、風味において一切の欠点を感じさせない完
璧主義者ならではの作品に仕上がっています。
・・・が、そんなめんりすとさんの美意識はさておき、食
べる側の私から見た時、常識的に考えるとフルーツを冷や
しラーメンに使う方が温かなラーメンに使うよりも容易で
あるようには思えます。
しかも戦前に公開されていた。写真を見る限り、名作涼麺
にフルーツを置いただけにしか見ません。
正直なことを言うと、めんりすと完全読本の作者である程
のめんりすとファンの私自身が、今回の作品に過度のワク
ワクを抱けないでいました。
そのことが、この作品のもう一つの欠点だと思うのです。
涼麺を食べたことがある人が、「予想できる味わい」と誤
解してしまう可能性が高いのです。
しかーし!!!!
めんりすとファンだからではなく、あくまでラーメンファ
ンとしての立場で語りますが、
この作品をオリジナル涼麺と同系統の一杯だと思ったとし
たら大間違いであります。
オリジナル涼麺を味わった人であれば必ず驚くであろうこ
の世界観、味わいの向こう側に広がるその甘美にして華や
いだ景色は、むしろオリジナル涼麺とは対極にあたる性格
を有しているのです。
オリジナル涼麺の魅力をこれまで指が疲労骨折する程にレ
ビューしてきた私ですが、オリジナル涼麺の魅力は間違い
な贅沢な魚介出汁で複雑に構築されたその旨味を繊細に深
く味あわすことにあるはずです。
そしてそこに用いられる魚介出汁、特に節系の個性がみせ
る枯れ感といいますか、哲学めいて大人びたその表情は、
スープの味わいから軽薄さを一切排除したまま深く深くに
まで食べる側の意識を引き込んでいくのです。
全ての風味がその輪郭を凛とさせ、圧倒的な透明感によっ
てその繊細さが明瞭な形で目の前に突きつけられ、その繊
細さの奥にある深い味わいに舌の焦点がぐいぐいと合わさ
れていくこの感覚は、オリジナル涼麺だけが持つ、絶対的
にして圧倒的な味わいだと確信しています。
複雑な風味にして、その全ての風味が一つの世界に向かっ
て緻密化していく様な、ストイックさの極みのような味わ
いこそがこのオリジナル涼麺の魅力なのであります。
そしてそんなオリジナル涼麺の魅力を体験している人が、
このフル~ツ☆ク~ラ~!を味わうならば、必ずやそこに
オリジナル涼麺とは相反する、対極的な世界を感じ取れる
はずなのです。
フル~ツ☆ク~ラ~!は衝撃的な一杯です。
トッピングされたフルーツの個性は、魚介出汁、魚介節が
持つ枯れ感を、潤いある、若くてハツラツとした、さらに
は気持ちがウキウキする様な個性に導きます。
サバなどの酸味のある魚介節の気難しくも知的な味わいが
不思議とフルーツの酸味に引き込まれ、華やかな香味とと
もに舌先をうるると撫でる様な軽やかにして明るい味わい
として演出されて行きます。
こ、これは凄いですよ!!!
フルーツの個性が完全無欠にスープに調和しています!!
フルーツなしでは成立しえない美味しさが、一切の無駄な
く表現されているのです!!
信じがたいことに、魚介出汁とフルーツの個性の重なりに
まるで濁りや、ブレが感じられません。
透明感あふれる魚介出汁の中に、フルーツの鮮やかな色彩
が水彩画を眺めるかのように、淡くもするりと溶け込んで
いきます。
オリジナル涼麺がシャブリとするならば、このフル~ツ☆
ク~ラ~!はジョルジュ・デュブッフ氏が理想とするボジ
ョレー・ヌーヴォーの味わいでありましょう。
この心が明るく弾む様な感覚は、オリジナル涼麺のストイ
ックさからは感じにくい開放的な心地よさがあるのです。
そしてそんな魚介出汁とのマリアージュに長けたフルーツ
の酸味に対し、一方でフルーツの甘味はいくらか独立気味
にその個性を奏でます。
イチゴ、パイナップル、キウイ、オレンジ、ピンクグレー
プフルーツといった果実の甘味が、それぞれの間合いです
っと顔を出し、この作品の随所で愛くるしさというインパ
クトを残します。
いくつもの果実の個性が次から次へと感じられるその展開
は、まるで優れた短編集を読んでいるかの印象で、一つ一
つの果実の個性がはっきりと愛らしく、それでいて全てを
読み終えたときにはそれぞれの物語の流れの中に一つに統
一された世界観を感じさせることで、このフル~ツ☆ク~
ラ~!に読み応えならぬ食べ応えを残すのです。
この作品には、間違いなくフルーツの数だけの喜びが存在
しています。
万華鏡を回転させるかのように、その場にある美しさに喜
びながら、次の展開を楽しみにさせる感覚があります。
フルーツのラーメンは数あれど、一口ごとに美味しさが増
し、飽きるどころか加速的に味わうことへの欲求が高まっ
ていく作品はそうはないはずです。
本格的な魚介スープの説得力と、フルーツが導くテンポの
良い華やかなる味わいが、時間を忘れさせるかのように箸
と蓮華を回転させ続けてくれるのです。
そんなフルーツに加えた更なるトッピングとしては、レタ
スを中心としたサラダ、豚しゃぶ、それに添えられたポン
酢ジュレ?がみられます。
キレと透明感のある魚介出汁の個性と、甘酸っぱく華やか
なフルーツの個性のコントラストの強さが煩わしくならな
いように、この中間でこれらトッピングが適度に個性的な
風味を散りばめるという作為溢れたコーディネートもまた
巧さが際立っています。
中でもポン酢ジュレの存在が光っています。
このフルーティーな香味と風味に溢れた作品を、洋テイス
トに走らせすぎず、しっかりと軸足をラーメンに落ち着か
せる重要な役割を担っています。
素晴らしい作品です。
めんりすとさんのシンプル系の作品にありがちな、気張ら
ずにさらっと作ったふりをしながら、実は相当に計算され
つくした一杯であることがよく伝わります。
実は今回のこの作品は、店主様のフルーツラーメンのレシ
ピ70以上の中から絞り込まれた究極の一杯でもあります
。
私が天才料理人と評するその店主様が自ら納得したその味
わいというものを、皆さんも知ってみたくはありませんか
?
そして特に、オリジナル涼麺における感動を体験済みだと
いうファンの方には是非お伝えをしておきたいと思います
。
この一杯はその時に開かれたあの美しき世界とは全く異な
るものでありながら、同時にそれに匹敵するほどの美意識
に彩られています。
ラーメンに美しさを求め、それを楽しめる全てのファンに
とって、間違いなく必食の一杯です!!
このコラボ企画では、数店をハシゴされる方も多いと思い
ます。
しかし最初の一杯に選ぶべき作品は、間違いなくフル~ツ
☆ク~ラ~!でありましょう。
その隅々まで彩られた美しさを是非是非ご堪能くださいま
せ!!
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2013/03/06 21:51
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