忍者ブログ

疾走日記

美味しい話

麺屋卓朗商店 ズワイガニと渡りカニをふんだんに使った濃厚カニつけ麺

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

麺屋卓朗商店 ズワイガニと渡りカニをふんだんに使った濃厚カニつけ麺

麺屋卓朗商店 ズワイガニと渡りカニをふんだんに使った濃厚カニつけ麺、その名は「かにぃ~かにゅ♪かにゅ☆」@「拉麺Fighter」in沼津 シーフードコラボ作品)
 
拉面Fighter in沼津によるシーフードをテーマとする3店舗のラーメン対決が、この2013年4月に実施されているところであります。
私も早速、麺屋ほっ田さんの旨味の一体感を極めた一杯、301餃子さんの劇的な味わいを極めた一杯を頂いたのですが、今回ついにの対決の主催であり、優勝大本命と言うよりは、優勝しないと失うものが大き過ぎるというプレッシャーを課せられた業界のレジェンドによる作品を頂いて参りました。
 
まずはその贅沢極まりない個性的なつけ汁を前に、一旦気持ちを落ち着けようと、麺をパクリ。
が、そこでまさかの驚きです。
卓朗商店さんのつけ麺を最後に平打ち麺で頂いたのは実は2年以上前のことになるのですが、いや~、麺の美味しさが記憶を遥かに超えていましたね。
 
オリーブオイル?で和えられたその麺は麺同士の張りつきもなく、何よりも味わい、香りともに華やか。
玉子の風合いが私の記憶とは全く別物に感じられ、麺からフレッシュな風味が気持ち良い広がりをもって口いっぱいに表現されます。
麺之心地の良い舌触りからは小麦や玉子の味わいを感じさせられ、和えられたオリーブオイル?の癖を残さずに、それでいてオリーブオイル特有の欧州めいたエレガントな色気を奏でます。
つけ麺の麺にありがちな煩わしい個性が微塵も見えず、むしろつけ汁無しで頂くことで贅沢感が増して感じられるほど。
 
しかしそんなリッチな麺を使用しながらも、それを超える贅沢感を覚えさせるのが今回のつけ汁です。
魚介系という表現を超越するまさにシーフード系と呼ぶべき「カニ」をテーマとするこのつけ汁は、これまでのつけ麺にはない個性と、世界観を描きます。
 
このつけ汁は、シーフード系ながら塩気をぐっと抑えています。
素直なカニの味わいを表現しながらも、スープを濁さず、雑味を残しません。
そこには技巧と洗練さの極まった「美化された演出的素朴さ」が感じられます。
素晴らしいです、徹底的に巧いです!!
 
口当たりからカニミソダレとでも表現したくなるカニの柔らかな甘味が濃厚に感じられ、またトロミを感じるその質感には感情的な温かみが生まれます。
旨味を突きつけようとせずに旨味の豊満さを主題できる、贅沢な素材感ならではの仕上がりはまさに感涙のクオリティー!
後味にはほのかな辛味が立ち上がり、カニの濃厚な旨味に小気味良いフィニッシュを与え、余韻を重苦しく感じさせません。
塩気を穏やかにしたことで、ほのかながらも辛味が持つ色彩がクリアに感じられ、多くのつけ汁にありがちな調味料的な安易さの一切を覚えさせません!!
 
素晴らしいですね。
一流であることを、作り手にも素材にも要求した上での一杯です。
けしてアイディアだけで成立させられる一杯ではありません。
香味油のチョイ足しによるシーフードアレンジを予想していた当方が恥ずかしくなる様な、気品に満ちた一杯です。
料理の根本からテーマとする素材を軸に練り上げられた、全く新しいレシピのつけ汁となっていることに感激させられました。
その結果、いわゆるラーメン・つけ麺の世界観とはやや異なる食べ応えも覚えさせられます。
貧困な例えかもしれませんが、ウニやカニを使用した高級店の和風パスタにも通じる、芸術的異文化交流が生み出すエレガントさがここには存在します。
そしてこのことが一部のラーメンファンの好みから外れる可能性を危惧させられはするのですが、一方ではもう一つの卓朗商店さんの作品でもある「舌の肥えた客層」に向けて生み出された内容であることが明確に伝わるものであるため、味わう中で常に舌先に集中力が落とし込まれ、作り手のメッセージを残さず味わいたいという期待感に終始させられるのです。
本当に素晴らしいです。
まさに「卓朗商店PRESENTS」な内容に向かった、プロフェッショナルの仕立てを感じさせられるつけ汁であります。
 
そしてもちろん、これだけ美食を貫いて仕上げられたつけ汁です、麺とつけ汁の相性もしっかりと計算されています
オリーブオイル?によると思われるアレンジが、温かいスープでどう変化するかを意地悪な視点でチェックしてみましたが、そこで苦味やエグさを残す風味が生まれることはなく、むしろ欧州的な色彩で作品のもつエレガントな香りをさらに上品に、さらに色気あるものに仕立てられていました。
 
艶やかな麺の舌触りにも、とろみあるつけ汁は柔らかくその個性を添わせていきます。
冷やかな性格にならずに気高さを覚えさせられる、人の温かみを残した美しさが、この一杯には満ち満ちていました
 
しかしこの作品、ここで終わる一杯ではありません。
麺を頂き、つけ汁をいくらか残した状態から、次の物語がスタートします。
スープ割りをオーダーする感覚で、麺を食べ終えたことを伝えて出てきたのは・・・。
 
ここから先は最大のお楽しみであるために、私ごときがサプライズを紐解いてしまうことを許されるはずもありませんが、間違いなく言えるのはカニのつけ汁で塩分濃度が抑えられていたことに明瞭な意味がここに存在していたということ。
 
この作品、演出過多で濃厚な旨味を感じさせる作品でありながら、最後の最後まで食べる者の舌のブレを抑えることに意識が注がれていたことが、このサプライズを前にして初めて気付かされます。
ラストの展開で覚えるべき、緻密なガラス細工に血肉を通わせたかの様な繊細にして興奮的な味わいは、冒頭のつけ汁がみせる穏やかな塩気と柔らかで贅沢な素材感によって舌の感覚が優しく磨きあげられていればこそ感じられるものであります。
 
もしこの作品が、カニのような高級食材を用いていなければ、この作品が描く物語も中途半端なものに終わってしまったかもしれませんでした。
カニという露骨な贅沢素材の存在があればこそ、無意識にいつも以上の意識を舌に投じ、その中で舌を料理の重心にフォーカスさせる感覚を一口ごとに磨けたのだと思います
そしてその過程を踏まえたからこそ、ラストの「緻密なガラス細工に血肉を通わせたかの様な繊細にして興奮的な料理」の正しい理解が成立するのだと思います。
 
雑な味わい方を許さない演出のために選ばれた雑な味わい方などできない高級素材でのアプローチ・・・、この痛快なる作為にまんまとしてやられました。
そしてそのことが嫌みでなく感じられるのも、柔らかに押しあげられた春の香りに癒されるからなのかもしれません
 
・・・って、そこまで計算なの????
 
この作品はラーメン史上初の試みを達した一杯なのかもしれません。
味そのもののクオリティーだけに終わらず、食べる側の舌のクオリティーまでもコントロールしながら、味の展開を描いたラーメン・つけ麺が、過去に存在したようには思えません。
かにぃ~かにゅ♪かにゅ☆が最後にみせたサプライズは、その見た目ではなく、むしろ伏線が張り巡らされた推理小説のような計算の高さにありました。
 
この作品、ただ美味しいだけの作品ではありません。
天才肌の職人による神ブレの一杯とは真逆にある、食べる側の感情を数値と理論によって自在に操ってみせた技巧派の一杯です。
コラボ作品という特別なステージであればこそ、その輝きを増す一杯です。
 
これぞ究極のファーストインパクトを主張する、歴史的名作であったと断言します!!
 
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

プロフィール

HN:
alphabetical anagrammer
性別:
非公開

カテゴリー

P R