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疾走日記

美味しい話

麺工房海練さんのそんなバナナ!!

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麺工房海練さんのそんなバナナ!!

麺工房海練さんのそんなバナナ!!
in ラーメン大戦争勃発!「お前ならフルーツをどう扱う?」ビリの店主はバンジージャンプ!!!

今回の第三回コラボ対決のテーマはフルーツ!!
これがもうこれ以上はないという程にラーメンにとっては難題たるテーマ、イタリアンの名店のフルーツパスタでさえもなかなか理解して貰えないというのに、よりによってラーメンとはとほほ・・・。
とはいえ、この企画がスタートした直後からのファンの熱狂ぶりは、皆さんの目や耳にも届いていることでしょう。
それというのもやはり、今回参戦している5店舗がいずれも静岡県東部を代表する名店であるということ、そして前回対決時に提供された4店舗の4作品がいずれもの圧倒的な名作だったからというのは間違いありません。
 
そんな前回ベジポタ対決の激戦を制したのが今回紹介する麺工房海練さんであり、故に今回の対決で多くの方が優勝候補の筆頭に上げているであろうお店なのです。
その麺工房海練さんが生み出したフールラーメンがこちら『そんなバナナ!!』。
 
その内容は、見ての通りのつけ麺であります。
フルーツ対決でつけ麺を出すのは逃げだと冷やかされてもいましたが、その疑念はそのつけ汁を一度口にすれば、あっという間に遠く海の彼方へ吹き飛ばされることでしょう!!
間違いありません!!
この作品、今回のコラボ作品の中では最も攻めています!
オリジナリティーを力強く主張し、理解できない者を振り落としながら、自分を信じてくれる者だけを至高の喜びに導かんとする作品です!!
 
前回優勝店舗という誇りと自信が…、いやその結果よりもむしろ自分の店を頂点と認めてくれたファンへの信頼に対する強い誇りと自信があればこその一杯であるとい断言できましょう。
圧倒的名作を味あわせた上で、作り手の色の濃さを表現してきたこの流れに、かつてラーメンろたす店主様が無題ブランドで鶏塩そばに続いてど煮干中華そばを出してきたあの時の感動が蘇ります。
 
そんなこの作品、その構成はなかなか複雑なもの。
リンゴとレモンを使用したチャツネで味付けされたどろっとしたつけ汁にバナナのホイップクリームがトッピングされ、さらには麺のつけ汁への道を阻まんとするかのように水菜が配色されています。
その圧倒的な個性は、食べる前からいくらかのファンを尻ごみさせるものでもあると思いますが、一方ではその容姿からは全く想像できない味わいであり、さらにはこれまで築いてきた麺工房海練さんの実績がこの作品もまた確実に美味しいであろうと確信させる内容でもあるのです。
この確実に美味しいものを食べさせてくれるであろうことを背後に感じさせた上での『裏切らない意外性』・・・、これこそが今回の麺工房海練さんの生みだした作品の最大の個性であるのかもしれません。
今回このアプローチが許されているのは麺工房海練さんたった一店しかないわけで、それを理解していればこそのこの作品というところに名店ならではの痛快さを感じさせてくれます。
  
というわけで、そんなそんなバナナ!!でありますが、やはりこのつけ汁、味わいのインパクトは十二分にもほどがあるほど!!
つけ汁はチャツネの味わいが生み出すエキゾチックな南国的テイストが主体となっています。
複雑でどこか淫靡な個性をみせるチャツネらしい辛味が感じられ、いわゆるカレー(カレーにもチャツネは使われるけどね)の様な、安定した朗らかさをもつ個性とは異なった個性であるのです。
かつて私が衝撃を受けた麺工房海練さんの超名作、濃厚味噌カレーラーメンや味噌ラーメンでは味噌の複雑さを生かしながらもカレーの包容力で明るく快活な味わいにし、味わえば味わうほどにコクの厚みを殺さずに風味が華やかに拡散させていくという珠玉の展開が用意されていました。
しかし今回のそんなバナナ!!は、これら路線とは対極をなす一杯であったのです。
流行や売れ筋に目もくれず、ただただ店主様の持っているポテンシャルとそれを楽しみにする客への意識を最大限に表現する一杯なのです。
  
かつて限定メニューとして提供された名作、濃厚味噌カレーラーメンや味噌ラーメンが陽の名作ならば、今回のそんなバナナ!!が陰の名作と言えましょう。
この作品は麺工房海練さんが得意としてきた都会的なスタイリッシュさで無駄のないスマートな美味しさを主張するスタイルから、むしろラーメンろたすの店主様がいくつかの限定作品で得意としてきた意図的に配したわずかな不協和音によって食べる者の意識を覚醒させ、同時にその瞬間にしか味わえないと感じさせるような規格に収まらない生生しい旨味のうねりを感じさせる路線に挑んだ作風にも思えます。
 
生ホイップと豚骨スープの相性は、麺工房海練さんの名作である豆乳と豚骨の相性に比べれば、いくらかのブレを存在させます。
しかしその完全に調和しきらないブレによって互いの素材がその旨味の圧力を殺さないままに主張されます。
チャツネなどを主体とする熟成感ある淫靡で複雑な醤(ジャン)めいた味わいは、バナナホイップの個性でスープを上ずった印象にさせず、味わいの軸を低域に押さえ、豚骨やホイップが主張しようとする甘旨味を意図的に混沌とした表情とさせながら独特の色気を生み出していくのです。
 
チャツネにはリンゴ、レモンが加えられているとのこと。
これら果肉が時折、このつけ汁に鮮烈な旨味を花開かせ、それによってつけ汁の味わいは淫靡ながらも気だるさを感じさせず、終始エキサイティングな予感を抱かせながらこの一杯を味あわせることに成功しています。
口の中に広がる明るく密度の高いか肉の旨味は、この重厚淫靡なつけ汁の味わいを飽きさせることなく、むしろ舌の意識を心地よく覚醒させます。
そしてこのつけ汁が持つうねるような旨味のダイナミズムとそれが描く大ぶりな波形に、じっくりとそしてゆったりと食べる側の感動の起伏が同調させられます。
 
音楽でいうとミドルテンポのヘビーで単調なギターリフを軸とする曲に時間とともに得も言われぬ陶酔感を与えていくあの感覚にも似た魅力をこの作品は有しています。
麺工房海練さんらしい一杯という印象ではないと思いつつも、逆に言えば麺工房海練さんらしくあるべきという縛りを解除して今回の異種格闘戦的なコラボ対決でこような作品を提供してくるところに店主様の創造力と技術力、センスの幅広さを感じるところです。
 
またこの作品で極めて印象が強く、面白い存在となるのが水菜です。
ストレートに意見すれば、ここに水菜があることでつけ汁に麺をつけやすくはありません。
バナナホイップや水菜を少しずつつけ汁に溶かしこみたい向きには、やや不便であることも間違いありません(ちなみにツイッターなどで検索すると、最初にホイップをしっかり混ぜた方が美味しいという意見の方が多いようです。私は踏ん切りの悪い子なのでチマチマ混ぜましたがw)。
個人的には、このつけ汁になぜ水菜かな~という気が一見しただけではしないでもないですし、少なくとも私のような素人にはとても思いつかないであろう組み合わせでもあるのですが、流石は前回大会優勝者による勝ち方を知っているアレンジであります。
実際に味わってみると「あ~、なるほど」と思うところも
 
あくまで私個人の感想ではですが、今回の作品は間違いなく水菜の個性はつけ汁に調和を図ろうとする以上に、つけ汁へのコントラストを生み出していました。
水菜のはっきりした食感は、私の味覚をすっと水菜側にフォーカスさせます。
そして水菜側の立ち位置を強要された瞬間に感じるつけ汁の味わいは、つけ汁を蓮華でテイスティングして感じるものとはまた異なる個性であるのです。
 
水菜は爽快にしてフレッシュな香味と張りのある食感を主張し、つけ汁のもつ複雑な味わいの輪郭をシャキッと艶やかに際立て、そのインパクトはつけ汁のもつ複雑にして淫靡なる混沌さを不思議と一体的なものに感じさせ、つけ汁の味わいに大ぶりなリズム感が生み出します。
そして一点を深く味わおうとすればするほどその深みを感じさせる前に次の表情を前に出してくるような、さらには旨味の掴みどころを意図的にスカすようにしたその性格が、いやらしくもあり、愛おしくも感じられます。
 
その捉えどころがなく、しかし複雑にして味わいが豊か、素材の個性が散漫なように感じられつつ、いくらかの混沌の中で同色の世界観を覚えさせる独特の風合いが、逆に無機質な印象を排除し、むしろ郷土料理やエスニック、アジアンなどの南国料理にも覚えがちな安定した不安定さによる魅力を感じさせてくれます。
 
海練さんの通常メニューを高級中華料理店のやきそばに例えるならば、この作品は高級インドネシア料理店のナシゴレンとでもいったところでしょうか。
舌よりも感情に先に訴えかけてくるような、どこか未完成の調和による魅力といったものの巧みなる再現性を覚えるのです。
 
その南国料理的な個性は、麺によってさらに高められていきます。
麺工房海練さんがつけ麺で使用することの多い太麺は、今回はあえて使用されていません。
この太麺、過去に評判が悪かったので使用しなかったということは到底考えられません。
麺工房海練さんのつけ麺用太麺は、過去に私が何度も絶賛してきた麺です。
噛んだ分だけ弾力が跳ね返ってくるような肉肉しい食感と、数学的に曲線美を覚えさせるようなコシのあるしなやかさが秀逸です。
このコラボ対決という土俵に、あのキラーヌードルを持ってこないというのもまた信じがたいところでありますが、今回使用されている平打ち麺でこのつけ汁を味わうと、なるほど平打ち麺のもちっとした食感とナチュラルウエーブの感触は、つけ汁同様に無機質さを一切感じさせず、そこに人間の味や土地の味に溢れた個性を誘うのです。
 
今回の麺工房海練さんの作品『そんなバナナ!!』は店主様の挑戦心を過激に走らせ、次なる麺工房海練の扉を開けんとする一杯でありました。
麺工房海練らしさという基準で、究極のラーメンを数多く作り、その評価をベジポタ対決優勝、あるいはしずめん!のラーメンランキングで個人店では頂点という結果に残してきたお店が、その枠だけに収まることを拒んだ一杯です
 
一年後の桜の季節の頃合いに、この作品を原点にして生まれてきた新しいメニューの多くに幾度となく感動させられた貴方はきっと思うはずです。
「そんなバナナ!!をあの時に味わっておいたからこそ、次なる名作で店主が何を示そうとしているかが伝わってくる」と。
ラーメンファン、そして麺工房海練ファンであれば確実に食しておくべき一杯でありました。
 
・・・がぁ、そんな名作にも死角が一つだけ残されていましたよ!!
皆さんもわかりますよね、前回優勝の麺工房海練さんが大どんでん返しで最下位となって、絵的にも嬉しいイケメンバンジーを「そんなバナナ!!」の掛け声とともに披露してくれるってのは、考えただけで面白過ぎるんですよ!!
 
あっ、もしかしてこれを読んだ麺工房海練のスタッフの皆様、ひょっとして「最後に余計なこと書いちゃだめでしょ!?」って思ってませんか?
いえいえ心配ご無用、大丈夫ですよ♪
ファンを信じていればこその挑戦的メニューを出した麺工房海練さんですから、採点表でもファンを信じて下さいね!!
そんなバナナはそんなバナナな美味しさであり、★★★★★の美味しさでしたからネ(^◇^)!
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